忘れてはいけないもの
- 2010/07/08 21:41
現在、レースに出場しているチーム員はその費用の捻出に四苦八苦しているのですが、ジュニア君達は当然ながら、親御さんの支援でレース参戦しています。
カートレースと言えども、本格的に優勝を目指して戦う、もしくは将来はプロドライバーを目指すなんて事だと、参戦費用に天井がないかもと思えるほどです。
誰もが、潤沢な資金があるわけではありません。僕もそうでした。全日本FSAに参戦していた頃はあたりまえのように千万単位の参戦費用を投じているライバル達に、僕は人には恥ずかしくて言えないほどの金額で戦っていました。
そんな中で、現在F-1で活躍するハミルトンとロズベルグがチーム マクレーレンからワールドカップに参戦した時に、僕も一緒のレースに出場しました。当時15歳だった彼等の年間参戦費用が2億円と知って、「カートのレースに2億って!」と思いっきり驚いたのを覚えています。
しかも、「カートレースなのに、マクラーレンって!」って2度目の驚きです。
そして、もっと驚いたのが、15歳の彼等はプロドライバーとしてお金をもらってレースに出ていた事です。だから、当然のようにメディアの対応にもプロとして、しっかりと受け答えしていて、その意識の高さに感心させられました。
そんな話を聞くと、才能のあるドライバーは苦労もせずに、良いチームで潤沢な資金でレースに出れて良いなと思うかもしれません。
でも、どんな世界でもそうですが、プロはやはり厳しいんです。お金をもらう以上、結果を求められます。結果が出なければチームから放出されます。今の自分を維持するためには常に、努力は怠れません。
ハミルトンとかニコの話だと、あまりにも世界が違い過ぎて、自分と照らし合わせ辛いですが、基本は同じです。
誰かの支援を受けるって事は易しい事ではありません。それはジュニアであっても同じことです。親御さんの支援を当たり前と思っていてはダメです。自分がどんなに恵まれているのか、またその恩恵をただ受けるだけではダメなんだと気づきましょう。
何故、自分のためにお金を使ってくれるのか?何故、貴重なお休みを自分のレースのために充ててくれるのか?親子だからと甘えていてはダメなんです。
僕のレースは前にも書きましたが、スポンサー様からの費用で助けられてきました。他人のためにお金を使うのは特殊な事です。カートレースのスポンサーになっても宣伝効果は薄いからです。それでも、スポンサーになって、支えてくれた企業様には今も感謝の気持ちで一杯です。スポンサーさんだけではありません。長年、僕のエンジンを担当してくれた、加藤さんは金銭的に苦しい僕を見かねて、安いメンテナンス費用にレースサポートもほとんど、ただ働き同然で応援してくれました。
こんな風に、自分を支えてくれる味方の事を大事にしなければなりません。自分のために何かをしてくれた人に最初はありがたいと思っても、それが麻痺して、だんだんと当たり前になって来てしまってはダメです。
レースは一人では出来ません。自分を支えてくれる人の存在に対して、感謝の気持ちを忘れてはいけないって事ですね。
さらに言えば、結果で恩返し出来る時もありますが、上手く行かないレースもあります。それでも支援してくれる仲間や親御さんに「次に頑張れば良いんだよ。」と言ってもらうためには、精一杯の努力を怠らない事です。
100パーセントの努力をしても結果が出ないのがレースです。でも、本気の努力が見られないとなると、応援している周りの人はどう思うでしょうか?自分がレース参戦出来ている事の感謝とそれに報いるための努力を怠ってはいけません。
特に親御さんの支援を受けているドライバーは親子と言うことで甘えてしまいがちですが、それではダメです。レースに向けて、出来る限りの努力をするのは当たり前ですが、感謝の気持ちもちゃんと伝えなければなりません。言葉にするのが照れくさいのであれば、何か行動で示すのも良いと思います。一般の子供に掛けるお金とは単位が違う金額を支援してもらっているのだから、自分が出来る家の仕事は積極的に手伝いましょう。
レースで勝つのは簡単ではありません。技術だけではダメですし、気持ちだけでもダメです。運も必要ですが、ラッキーだけで優勝は難しいです。全てをバランス良く持つには人間的に成長しなければなりません。最後の最後で勝敗を分けるのはこういった部分です。
大人になっても忘れてはいけない部分です。レースって本当に難しい、だからこそ優勝した時の喜びも大きいんですね。
これを、読んだチーム員はもう一度、自分に当てはめて見て下さい。胸を張って、自分は頑張っていると断言出来る人以外は、今日から心を入れ替えて、初心に帰り、初めてカートに乗った日の事を思い返しましょう。これからレースが出来る喜び、それを与えてくれたのが誰なのか?そう思えば、くだらない口答えなんてしてられなくなるはずです。感謝の気持ちは絶対に忘れてはいけないものって事ですね。
そういう訳で、チーム代表として、親御さんに聞き苦しい受け答えを発見した場合はトイレのスリッパで後ろから、しばきますのでそのつもりで♪
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